きょうだい





「何度も言わせるな!私が『姉』でお前が『弟』だ!!」
「違うでしょ、カガリ。僕が『お兄ちゃん』で君が『妹』」
「お前のような泣き虫の兄はいらんっ」
「カガリの方が泣き虫じゃないか」
「〜〜〜〜〜〜っうるさい!!」

「あらあら、困りましたわね」
「(そんな楽しそうな顔で言われても…)……そうですね」


言い争う双子とそれを微笑ましく見守っているラクスに、アスランは溜息を吐きたい気分になった。








久しぶりに集まった四人は、マルキオ邸のテラスでラクスの淹れた紅茶を飲んでいた。お茶菓子はアスランとカガリが手土産に持ってきたクッキー。
丸テーブルにキラ、ラクス、アスラン、カガリの順で座っているため、男同士・女同士が向き合う形となっている。

しばらくはお互いの近況を報告したり、他愛無い話をしたりしていたのが……ふと零したキラの一言が拙かった。

「そういえば、ちょっとカガリに訊きたい事があるんだけど」
「なんだ?」
「どうしてオーブ軍では僕が『弟』になってるの?」


――果てのない双子の主張開始。








「まったく……どっちが上でも問題ないだろうに」

いつまで経っても口論を止めないキラとカガリに、アスランはついに溜息を吐いた。
どちらが上であっても、この二人の関係が変わることなどない。それだけは自信を持って言える。だからこそ、目の前の不毛な会話には呆れるしかない。

しかしラクスは、アスランの言葉をにこやかに否定した。

「そんな事ありませんわよ?」
「え?」
「とても大切な事ですわ。お二人が『お義兄様』と『お義姉様』になるか『義弟』と『義妹』になるかで、呼び方が変わりますもの」
「「な…っ!?」」

ラクスの爆弾発言に、アスランだけでなくカガリも絶句した。キラとの口論中もしっかり二人の会話は聞こえていたらしい。
そんな二人とは対照的に、キラはにっこり微笑んだ。

「じゃあ、やっぱり僕がお兄ちゃんだ。アスランは僕より年下だもん」
「ちょっと待てキラ!」
「なに?」
「『なに?』じゃない!!たかが数ヶ月差で『年下』は無いだろう!それにお前を『義兄』なんて呼べるか!!」
「なんで?」
「お前のような手の掛かる奴が義兄であって堪るかっ!!!」

微妙にカガリと同じ様な主張をするアスラン。彼の脳裏には幼年学校時代の苦労が走馬灯のように流れていた。
対するキラはにこやかな笑顔を崩さない。「古い話を持ち出さないでくれる?アスランこそ――」と反撃に出た。


お互いの「手に掛かる度」を言い合う二人を変わらぬ笑顔で見守っていたラクスだが、真っ赤になって俯いているカガリに気づき、そっと声を掛けた。

「どうかなさいました?」
「(なんで三人とも平気な顔で『そういう事』が言えるんだよっ////)べ、別にっ!」
「でも、お顔が赤いですわよ?」
「こ、これはっ………………あ、そうだ!紅茶、おかわりしていいか!?お菓子食べてたら喉が乾いてさ!!」

言い訳が思いつかず、咄嗟におかわりを要求するカガリ。
こんな脈絡のない発言をすれば疑問に思われるものだが、相手はラクスである。「構いませんわ」と普通に淹れ直し、「キラとアスランもいかが?」と勧める始末。(もちろん二人は素直に頂戴した)


無くなってしまった紅茶を淹れにラクスが席を立った後。
淹れ直してもらった紅茶を一口飲んだキラは、幾分か落ち着いたアスランとカガリをじっと見つめた。

「な、なんだ?」
「言いたい事があるならはっきり言え!」
「――二人とも、『自分達が上だ』って言い張るつもり?」
「「当然だ!!」」
「じゃあ訊くけど。君達、ラクスを“義妹”って思えるの?
「「…………………」」

キラの発言に、無言でラクスの消えた先を見つめる二人。

「どうなの?」
「…………ムリだ」
「…………俺も」
「なら決定だね。この話はもうお終い」(にこ)
「「…………………」」

何となく腑に落ちないが反論する言葉も思いつかず、二人が複雑な表情で紅茶を飲んでいると、ティーポットを手にラクスが戻って来た。

「お帰り、ラクス。あ、さっきの問題は片付いたから」
「あら、決まりましたの?」
「うん。僕達は今まで通りの呼び方で大丈夫だよ」
「まぁv では、キラがカガリさんの『お兄様』ですのね?」(にっこり)
「うん♪」(にっこり)


「………アスラン」
「なんだ」
「………この二人ってさ」
「言うな」
「………うん」








素敵な笑顔を交わすキラとラクスを真正面から見ることになったアスランとカガリは、「……この二人には勝てない……」と実感したそうな。











種デス終了後の話……でしょうか?? ←訊くな

キララク最強、アスカガ被害の関係が好きなんです(笑)
キラは微黒、ラクスは天然、アスランは微白、カガリは純情――なんですv