ふふふ……蓮様に最後の台詞を言わせたいがためにできた作品ですね。まぁ、管理人が神話好きなことも大いに関係がありますが。
「乙女座の神話、キョーコちゃんならデメテルの話の方が印象的だよねー。でも、蓮様は神話の結末に納得しないって。」というノリですよ(笑)
読んでくださった方、こんなにロマンチックなお題からそういう話を作れない管理人をお許しください。
星 「わぁ……綺麗な星空ね……」 「お気に召しましたか?お姫様?」 「お姫…っ/// ……うん、とっても気に入ったわっ!すっごく綺麗なんだもの! でもね?あんな何気ない一言を覚えていてくれたことが、一番嬉しいかなv」 今二人がいるのは、都心から車で一時間ほど離れた場所にある見晴らしの良い高台。 珍しく二人揃って仕事が早く終わったのだが、蓮はマンションに帰らず「いい所」とやらにキョーコを拉致った。そして辿り着いた場所が、ここである。 着いた時には訳が分からず「どうしてここに?」と訊くと、蓮は優しく微笑みながら、 「この間、言っていただろう?『星が見たい』って」 と言ったのだった。 それを聞いた時、キョーコは本当に嬉しくなった。蓮は「言った」と言うが、あれはただの独り言だったのだから。 ショータローの実家である旅館は日本有数の老舗であり、景色も空気も澄んだ場所にあった。だからだろう。東京に出て以来見ていない、空いっぱいに煌めく星が懐かしかった。 そして、蓮のマンションから星一つ見えない空を眺めているうちに、無意識に「星空が見たいなぁ」と呟いていたのだ。 そんな些細な一言を憶えていてくれて、しかも実現するために態々ここまで連れて来てくれたことが、キョーコには何よりも嬉しかった。もちろん、この景色が気に入ったことも嘘ではないが。 蓮もそのことがわかっているのか、ますます微笑を深くする。 「そんな可愛い表情で可愛いこと言われたら、俺の理性がもたないよ?」 「お願いだからフル動員させて下さい。」 「一応頑張ってみるけど、保障はできないな」 などなど、甘いのかどうか微妙な会話をしばらく楽しむ二人だった。 小一時間ほど経った時、星空に見とれていたキョーコが不意に言葉を発した。 「ねぇ蓮?おとめ座の神話って知ってる?」 「……いや?」 「いろんなお話があるみたいだけど、私が好きな神話はね――」
実りの神デメテルには草原の神ペルセフォーネという愛する娘がいました
あるとき、草原で花を摘んでいたペルセフォーネを 冥府の神ハデスが嫁にと地中にある冥府へとさらっていってしまいました それを知った母デメテルは絶望にくれ、洞穴にこもってしまいました 実りの神が不在の大地では、春になっても芽が出ず、一年中冬の状態 それを見かねた大神ゼウスは、ハデスに娘を返すように言いました ペルセフォーネは地上に帰ることになりましたが、帰り際に柘榴の実を食べてしまいます ペルセフォーネが地上に戻ってくると デメテルは洞穴から飛び出して娘を抱きしめました するとそれまで枯れ果てていた大地がみるみるうちに草でおおわれ 草木がいっせいに伸びはじめたのでした しかし、柘榴の実を食べてしまったことを知り、母はショックを受けます 柘榴は婚姻の証で、別れさせることはできない決まりなのです そこでゼウスは、一年の3分の2は母のもとで 3分の1はハデスのもとで暮らすようにとペルセフォーネにいいつけました このため、娘のいない4ヶ月、デメテルは洞穴にこもり その間、地上は冬となるのでした―― 「――てお話なの」 「へぇ、そんな話があるんだ……でも、どうしてそれを?」 「『おとめ座』って響きが可愛いから」 「……いや、そうじゃなくて。どうしてたくさんある神話の中でそれが好きなの?」 まさかそんなことを訊かれるとは思っていなかったのだろう。明らかにキョーコは驚いていた。だが、その表情も次第に苦笑へと変わる。 「……このお話、母親が娘のことをとても愛しているでしょう?だから、一番印象に残ってたの」 その言葉だけで、蓮には十分だった。 幼い頃から母親の愛情を知らずに育った彼女にとって、神話の中であっても親子の絆が窺い知れるものは憧れの対象だったのだろう――と。 蓮の表情が曇ったことに気付いたのか、キョーコは殊更に明るい声で、 「でも、今は単純にこのお話が好きなのよね。有名な神話はもう1つあるんだけど、そっちは正義の女神のお話でロマンチックじゃないんだもの」 と笑いながら話した。 気を遣わせてしまったな、と思いながらも、蓮はそれに乗ることにする。 「キョーコらしいね…… でも、俺としてはさっきの話も不満かな?」 「……なんで?」 「女神にせよ冥府の神にせよ、愛する人とずっと一緒にはいられないんだろう?俺には耐えられないね」 この台詞には、さすがのキョーコも呆気に取られる。言うに事欠いて神話と恋愛話を同レベルにするとは…… だが、蓮は更なる爆弾発言を落としてくれた。 「俺が女神の立場なら、絶対的な決まりだろうと冥府にでも天界にでも乗り込んで、どんな手段を使っても別れさせるよ。逆に冥府の神の立場なら、誰の指図であっても聞くつもりはないし、地上のことも気にしてられないね」 (終わってください)
ふふふ……蓮様に最後の台詞を言わせたいがためにできた作品ですね。まぁ、管理人が神話好きなことも大いに関係がありますが。
「乙女座の神話、キョーコちゃんならデメテルの話の方が印象的だよねー。でも、蓮様は神話の結末に納得しないって。」というノリですよ(笑) 読んでくださった方、こんなにロマンチックなお題からそういう話を作れない管理人をお許しください。 |