暗っ!?なにこの暗さは!?本気でシリアスしてますよ!?お題を見た瞬間は【ギャグ】にしようかと思ってたくらいなのに……
『雷』にまつわるキョーコちゃんの暗い過去に焦点を当ててみました。そしてそれを癒してきたのは『コーン』であり、今後癒すのは蓮様です。この話が書きたくてこんな内容になりました。
(尚君の話を書いてるとき、「この役立たずめっ!!」と叫んでいたのは秘密ですv)
お互いの存在がどれだけ影響を与えてあっているのか、少しでも伝わってくれれば幸いです。
雷 ゴロゴロゴロ・・・・ 「雷、鳴ってるわね。近いのかなぁ」 「……意外だな」 「なにが?」 「キョーコ、雷平気なんだ?苦手だと思ってたんだけど」 そう、彼女は雷が苦手だと思っていた。理由は、幼少時に彼女と過ごした数日間が真夏であり、積乱雲から発生する雷の音に反応していたことを憶えていたからだ。 しかし今、不安を掻き立てるような低い音やマンションの窓から時折入ってくる稲光を見ても、キョーコは全く動じない。 その代わり、俺の言葉に一瞬だけ反応した。 彼女は気付かれていないと思っているかもしれないけど、この俺が見逃すはずがないだろう?あんなにも悲しそうな瞳を…… 「なにが、あった……?」 「……え?」 「何か、悲しい思い出でもあるんだろう?それを、俺の言葉で思い出したんじゃないのか……?」 「そ、そんなことないわよ?蓮ったら考えすぎ…」 「キョーコ」 名前を呼びながら、真剣な眼差しで隣に座るキョーコの瞳を覗き込む。俺から瞳を逸らせないように―― 最初は何でもないような素振りをしていたキョーコだが、徐々にその表情を曇らせていく。 「俺はそんなに頼りない?君が過去(傷)をさらけ出せるほど、信用してもらえてない?」 「そんなことないっ!!」 俺の言葉を即座に否定するキョーコ。 正直、嬉しかった。その様子が本当に慌てているものだったから。 「じゃあ……話してくれる?」 ふわりと表情を和らげ、優しく微笑みかける。できるだけ彼女が安心できるように。 それが功を奏したのか、表情は晴れないままであったが少しずつ語り始めてくれた。 「……昔はね、私も雷が怖かった……耳を塞いでも聞こえてくる音も……瞳を閉じても感じる光も……怖くて怖くて、たくさん泣いたわ。誰かにしがみつきたかった。安心できる温もりが欲しかった。 ――でも、できなかったわ。ショータローの両親は忙しい人達だったし、預かってもらえてただけでも感謝していたから、それ以上の迷惑はかけられなかったもの。母は……頼れるような関係じゃなかったし、何より…………傍に居てくれなか……っ…た……から……」 「――アイツには?」 本音を言えば、あの男のことなど話したくなかった。 けれど、彼女があまりにも辛そうな表情をするから……語尾を震わせるから……少しでもアイツが彼女の支えになっていてくれたことを願った。だが―― 「あの頃の私はショータローを世界の中心に生きていたから……困らせたくなくて頼れなかったの。同じ理由で、アイツの前では泣かないようにしてたし……だから『誰にも頼らないこと』『何も言わないこと』に慣れちゃって、そのうち雷も平気になったのよ……」 「…………そう」 俺の願いは届かなかったようだ。 誰も……何も彼女の支えにならなかったのだろうか?深い傷を負ったまま、今まできてしまったのだろうか……?せめて自分が傍にいてやれたなら…… そんなことを考えていると、さっきまで痛みに耐えているような表情をしていたキョーコが、少しだけ微笑んだ。 「――でもね?私独りだったら、きっと乗り越えられなかったわ……私が雷を我慢できたのも、『コーン』のおかげ…」 「……え?」 「以前拾ってくれた碧い石のこと、憶えてる?」 「もちろん」 忘れるはずがない。アレは俺が君にあげたモノなんだから…… 何より、失くしたときの君の動揺振りと、無事に見つかったときの笑顔が印象的だったから…… 「あの石を握り締めていると、どんなに辛いことも悲しいことも、全部忘れることができたの……私にとって『コーン』は救世主なのよ……ってきゃあっ!?」 彼女を胸に抱き寄せ、きつく抱しめた。顔を見られないように。 ――涙が出そうだった。 自分の渡した石が、キョーコを支えてくれていたことが嬉しかった。彼女の傷を、癒してあげられていたことに安堵した。俺は…傍に居てやれたと思ってもいいのだろうか……? 突然俺に抱きすくめられたキョーコはただ驚くだけで、自分の言葉がどれだけ俺に衝撃を与えたのかわかっていない。いや――今はまだ、わからなくていい。 「俺が…」 「え?」 「これからは、俺がキョーコの傍にいるよ……キョーコが辛いときには助けてあげるし、悲しいときはこうやって抱きしめて温めてあげる。それとも、俺だと『コーン』の代わりは務まらないかな……?」 「……蓮も『コーン』も同じくらい大事よ。どちらもどちらの代わりになることはできないわ」 「……そう、だね。変なこと訊いてゴメ」 「でも、忘れないでね?蓮が傍に居るから、今は『コーン』に頼っていないのよ?私」 愚問だったと思い、そのことを謝ろうとしたら途中で遮られ、キョーコの細い腕が俺の背中に回された。 その言葉も行動も、俺にとっては何よりも幸せなもの。 だから、苦しいだろうとは解っていても、彼女を抱きしめる力を少しだけ強くしてしまった。彼女もまた、それに抗うことなく抱きしめ返してくれた…… ――雷が鳴り止んでいることに気付いたのは、それからずっと後のこと。
暗っ!?なにこの暗さは!?本気でシリアスしてますよ!?お題を見た瞬間は【ギャグ】にしようかと思ってたくらいなのに……
『雷』にまつわるキョーコちゃんの暗い過去に焦点を当ててみました。そしてそれを癒してきたのは『コーン』であり、今後癒すのは蓮様です。この話が書きたくてこんな内容になりました。 (尚君の話を書いてるとき、「この役立たずめっ!!」と叫んでいたのは秘密ですv) お互いの存在がどれだけ影響を与えてあっているのか、少しでも伝わってくれれば幸いです。 |