Who is it that was caught? 後編





巨乳好き変態悪魔ーーーっ!やっぱりあんたが魔界に帰りなさい!!ミモリはあんたに騙されてて言うこと聞いてくれな――――…」

レンとショーが言い争い――と言っても、レンは全く相手にしていないのでショーが一方的に叫んでいるだけだが――をしている中、ミモリの説得に失敗したキョーコが矛先をショーに向けるために戻って来た。
遠目にはわからなかったが近づくにつれて数が増えていることに気づき、その勢いを急速に沈めていく。増えた三人に視線を向け、その視線が黒髪の悪魔に向いたところでピタリと止まった。そのまま、釘付けとなってしまう。

(…………キレイな悪魔……どうしてそんな瞳で私を見るの?あの瞳に…吸い込まれそう……)

高鳴る胸を押さえ、キョーコはレンをじっと見つめる。レンもまた、キョーコを見つめていた。
そんな二人には気づかず、突然現れた天使にヤシロとカナエは訝しげな視線を送る。

「……何?この子」
「確か…王子の相手と仲が良い天使じゃなかった?」
「ああ、そうだったわね。けど、開口一番に天使とは思えない言葉を吐いてなかった?」
「…………彼女も必死なんだよ、きっと…」

何故か見知らぬ天使をフォローするヤシロ。哀しい性分である。
一方、「巨乳好き変態悪魔」呼ばわりされたショーはキョーコに向かって抗議を始めた。

「どいつもこいつも…っ!誰が巨乳好きだーーーっ(怒) 大体お前!天使ならもっと慎ましやかな言い方をし」

ドコォ!!

「煩い虫は沈めたところで……ちょっといいかな?」
「(あの悪魔吹っ飛んだけど…どうでもいいわね)悪魔が私に何の用?」
「君の美しさに目を――いや、心を奪われた…」
「………………はい?」
「俺と共に生きて欲しい。天使の君が魔界で住むのは大変だろうし、君が望むなら天界でもここでもいいよ?俺は君さえ傍にいてくれればそれでいいから。ね?」(にっこり)
(……私の意見を聞かずに話が進んでない?そして疑問形なのにそう感じないのは何故?)
……あなた、天使と悪魔の恋がどんな結末を待つのか、わかって言ってるの?」
「大丈夫。俺の力でどうにでもなる」
「……私があなたを愛するとでも?」
「どれだけ時間が掛かろうとも、振り向かせてみせるよ……君がどう答えようと、俺は君を手放すつもりはない」
「……よくもまあ恥ずかしげもなく言えるわね///」
「本心だからね」

ショーをど突き倒した後、何事もなかったかのようにキョーコを口説き始める元・無愛主義魔王。悪魔嫌いのキョーコを照れさせるほどの魅力を発揮。


「ちょぉぉぉぉっと待てぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
(ちっ)……生きていたのか?」
(今舌打ちしなかったか!?)
お前っ、ついさっき『愛なんてまやかし』っつったろーが!!舌の根も乾かねーうちから何口説いてやがんだ!しかもあれだけ見下していた天使相手に!!そもそもてめェは俺を連れ戻しに来たんだろーがっ!それを全力でブッ飛ばした挙句『生きていたのか?』だと!?いい加減にしやがれーーーーー!!(怒)

レンに横から攻撃されて動けなかったショーが復活し、あらゆる不満を吐き出した。しかしそれを受ける本人は、どこ吹く風、である。

「一々叫ぶな。それは彼女に会う前のことだろう?出会いは価値観を変えることもあるんだ。肝に銘じておけ」
「エラそうに言うなぁぁぁぁぁぁぁっ(怒) 大体っ、お前の力で俺の衰弱が止められるなら最初っからそうしやがれ!!」
「何故俺がお前などの為に力を使わなくてはならない。俺を超えたいなら自分でどうにかしろ」
「こ、この……っ」

バカにしたように鼻であしらわれ、青筋を一つと言わず幾つも額に張り付けるショー。
彼が何か言う前に、キョーコが手を組みながらレンに懇願した。

「……ねぇ。レン、だったわよね?あなたの力で、私の親友を助けてくれない?そこの変態悪魔のせいで死にそうなの……」
「お安い御用だv」
「待てコラ!!」
「(スルー)ありがとう!」
「(こっちもスルー)いいんだよ。大切な君のお願いだからね。あ、そういえば君の名前は?」
「キョーコよ」
「キョーコか……ねえ、キョーコ。さっき俺が言ったこと、本気だから。君の親友を助ける代わりとかお礼とかじゃなく、君自身の答えを聞きたいな…?」

とても魔王とは思えないほど蕩けるような優しい瞳でキョーコを見つめる。キョーコは顔を真っ赤にし、視線を少し逸らした。

「……から………も……た…」
「……ん?」

あまりにも小さすぎて、悪魔の聴覚でさえ聞こえない声。聞き返すが、キョーコも中々はっきりと言えないらしい。
辛抱強く待ち続けることしばし。


「……最初から…私の心、も……奪われてた…っ///」



風に攫われそうな小声で――それでもしっかりと届いた返事は、レンの心に愛しさをもたらした……







――Which is it that was caught at the beginning as for the mind?









<おまけ>

「私達、完全に忘れられてるわよね…」
「でも、レンがあれだけ感情を見せてくれるのは嬉しいよ」
「…ずっとそれを心配してたものね、あなた」
「これでもアイツとは付き合い長いからねー。あの二人がどこで暮らすつもりなのか知らないけど、祝福するよ」
「……そうね」

「――さて!俺達は王子を魔王とするべく教育しなくちゃね!」
「何!?」
「ほら、さっさと来なさい。無駄だと思うけどみっちり扱くわよ」
「…………俺に…指図すんなーーーーーー!!」









(終われ)

26900hitにRINKA様よりいただいたリク、「スキビキャストによるPV喜劇話。蓮魔王は尚王子の不始末のケリをつけにきたのに、キョーコちゃんに出会って目的が…」でした(笑)

か〜なり纏まりのない話になりました…i|||i_| ̄|○i|||i
結局、美森ちゃんと尚君はどうなったのか……

題名は「囚われたのは誰?」という意味です。あと、最後の一文は「最初に心を囚われたのはどっち?」という問い掛け。これは管理人もわかりません(爆)
また、魔王と王子に親子関係を持たせると蓮様にキョーコちゃん以外の妻がいたことになるので、設定で無理やり除外(笑)


……RINKA様。またしてもリクに応えられてない気がしますが、どうぞお納め下さいm(_ _)m



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