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<3匹のこぶた> 親の家から出された3匹のこぶた達が、それぞれ藁の家、木の家、煉瓦の家を建てる。 藁の家と木の家はオオカミに吹き飛ばされてしまうが煉瓦の家は吹き飛ばされず、オオカミはその家の煙突から中に入ろうとする。しかし、用意されていた熱湯入りの鍋に落ちたオオカミは逃げていく。 オリジナルのグリム童話では、この他に煉瓦の家を建てたこぶたとオオカミとの知恵比べのストーリーが、オオカミが煙突から中に入る前にある。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
3人の義兄妹 前編 バリバリ現代のある孤児院に、社倖一、琴南奏江、最上キョーコという3人の義兄妹がいました。3人は大変仲が良く、社と奏江は恋人、奏江とキョーコは親友という間柄でもあります。 ある日、彼らは孤児院の院長であるローリィ宝田に呼び出されました。 呼び出される心当たりのない当人達は、にこにこ笑っているローリィに不気味なものを感じてしまいます。 「社ちょ――院長?一体何のご用事でしょうか……?」 「ああ、大したことではないからそんなに固くなる必要はないよ?最上君」 「はぁ…」 「時に――社君に琴南君」 「「は、はい!」」 「君達が恋人関係にあるというのは本当かね?」 「「!?(バ、バレてる!?)」」 ローリィの口から出た言葉に2人は冷や汗を滝のように流しました。 血は繋がっていないとはいっても、彼らは兄妹として育ってきています。その2人が恋人同士だと、周りの白い眼が気になる――なんてこと、彼らに限って絶対にありません。仮にそんな視線を寄越してこようものなら、社の黒オーラが炸裂し、奏江の辛口の的になります。 彼らが恐れていたのは、「この世に愛ほど美しいものはない!」と公言してはばからない院長に知られることでした。彼に知られた日には、勘弁してくれと思うくらい派手に祝福されること間違いないからです。 引き攣った顔で何も言えない2人をにこやかに見つめ、ローリィは言葉を続けます。 「安心しなさい。この俺に限って反対するなんてことはない!!」 「「それは否という程知っています。」」 「そうだろうそうだろう!そこでだ!!しゅ「「祝宴会はご遠慮します」」……………………なぜだね?」 「一応、俺達兄妹ですから(本当は関係ないけど)」 「世間の目というものがありますし(どうでもいいけど)」 「………………うむぅ…… では、2人とも孤児院から出て一人暮らしをするといい。しばらく他人として過ごせば問題あるまい?」 いきなり正論を口にするローリィ。3人の心中は「院長がまともなこと言ってる!?」と驚きでいっぱいでしたが、それは表に出しません。 ローリィが2人の返事を待つ中、置き去りにされているキョーコはオズオズと手を挙げました。 「――あのぉ。社さんとモー子さんの呼び出し理由はわかったんですけど、私は……?」 「おおっ、そうだったな!なに、君にも一人暮らしをしてもらおうと思ってな!」 「…………何故ですか?」 「君は蓮と付き合っているのだろう?」 「//// た、確かにお付き合いしてますけど…」 「蓮」というのは、孤児院に対して多額の寄付金を施してくれている敦賀蓮のことです。彼が孤児院で懸命に働くキョーコを見初め、長年アプローチしてきた結果恋人となったのは、つい最近のことでした。 ローリィは真っ赤になって肯定するキョーコを嬉しそうに眺めています。彼女は今まで恋愛に興味がなく、「愛」をこよなく愛する者として――もとい育ての親としては心配の種だったのです。 「それでだな。蓮から頼まれたんだよ、君に一人暮らしをさせて欲しいってね」 「は?」 「孤児院では襲いたくても襲えんらしい」 「なっ!?////」 「あいつの言うことにも一理あると思ってな、許可したんだ♪」 「しないでくださいっ!! 何考えてんですか!?仮にも親なら反対するところじゃないんですかっ!?」 「大丈夫だっ!そこに愛があれば問題ないっ!!」 「大有りですっ」 キョーコは心の底から抗議しましたが、「もうこれは決定事項だ!!3人とも、すぐに住む部屋を探しに行け!!」という最終通達を出され、彼らはしぶしぶそれに従うことになったのです。 数日後、3人はそれぞれの新居に引越しました。 賃貸には色々と面倒な手続きがあるというのに、早過ぎないでしょうか?これはもう某院長と某青年が裏で手を回していたとしか思えませんよね? それはともかくとして、彼らの新居はそれぞれの性格を実に反映しています。 警戒心というものをどこかに忘れてきているキョーコは女性の一人暮らしであるにも拘らず、セキュリティ皆無な上に1階というどうぞ襲ってくださいなvと言わんばかりの住まいです。 機械とは「相性が悪い」なんて言葉では生温く、もはや「壊す者と壊される物」としか形容できない社は、至って普通の部屋を借りています。 まあ男性ですし、多少襲われたところで問題ないでしょう。 警戒心を持っている上に機械とも仲良くできる奏江は、カードセキュリティの充実した一室を借りることにしました。さらに玄関にはワイヤレスセンサーを設置し、スタンガンと催涙スプレー、カラーボールまで用意しています。 過去に被害歴でもあるのでしょうか?どう考えても侵入者を殺(ヤ)る気ですね。 ――と、このような状況で3人の義兄妹の新生活は始まったのです。 引越しした実にその日、蓮はキョーコの新居を訪れました。 別に溜まりに溜まった欲求を早速解消してやろうなどという考えは(6割しか)なく、(残り4割は)純粋に引越し祝いをしようと思っていたのです。 ですが目的地へ着いた途端、彼の頭からは「引越し祝い」という言葉が吹っ飛んでしまいました。 「………………ここの、1階だって?…………これはお仕置きが必要かな?」 ぷち魔王化した蓮は、ピリピリした空気を漂わせながらキョーコの部屋へと足を運び、インターホンを鳴らしました。すると―― ガチャ 「はーい。誰ですかー?」 彼女は、鍵を外して扉を開くと同時に誰何したのです。 この瞬間、蓮の中で「お仕置き→調教v」が決定されました。 訪問者が蓮だとわかったキョーコは嬉しそうな笑顔を浮かべ、そのまま凍りついてしまいます。なぜなら、眼前にフェミニストならぬキュラレストがいらしたからです。 「(な、なんで怒ってるのかしら??)れ、蓮?」 「…………キョーコちゃん?」 「は、はいっ!?」 「何故セキュリティの全くないマンションなのかな?」 「へ?だって、セキュリティのあるマンションは高いじゃない」 「……どうして1階を借りたの?」 「もちろん、出入りが楽だから♪」 「…………チェーン、してなかったよね?」 「何か調子悪いみたいで。でも鍵はしてたわよ?」 「………………相手の確認をせずに開けたら、意味がないな」(キュラリ☆) 「……あ゛」 ここにきてようやくお怒りの理由に気付きます。ですが、気付いたからといってどうすることもできません。 一歩、二歩と、キョーコは後退りしました。 「こんな誰でも侵入できるような部屋で警戒心の欠片もないってことは………………………襲われても文句ないよね?」(にーっこりvv) 「いやあぁぁぁぁぁぁっ!!」 瞬間、素晴らしい瞬発力を発揮したキョーコは窓から脱走することに成功します。(1階で良かったですね) そして、そのままある場所に向かって全力疾走するのでした…… 「……逃がさないよ、キョーコ?」 |