ピンクツナギちゃん 後編





「……………………」
「やぁ、いらっしゃいv また逢えたね、キョーコvv」

バタン

(ちょっと待ってーーーーーーーっ!!なんでマリアちゃんの別荘に蓮がいるの!?しかもめちゃくちゃ自然体だったし!)

思わず開けた扉を閉め直し、今目にしたものを確認するキョーコ。
扉の向こうで彼女を迎え入れたのは妹のように大切に思っているマリアではなく、とろけんばかりの笑顔を浮かべた蓮だったのです。
それにしても、両手を広げて待っている姿は『自然体』と言えるのでしょうか?

ドアノブに手をかけたまま固まっていると、不意に内側――キョーコからすると前方――に扉が開かれました。その動きにつられ、キョーコは前方に倒れこみそうになります。
ですが、そんなコトを彼が許すはずありません。しっかりと彼女を抱き留め、さらにこちらが目的とばかりに抱きしめました。

「ちょっ……蓮っ///」
「ひどいなぁ…どうして閉めたりしたの?俺、ずっと待ってたのに」
「……ねぇ蓮?ここ、貴方の家じゃないわよね?」
「もちろん。それが?」(さらり)
「いやそこサラリと言うとこじゃないから。
でも、だったらどうしてここにいるの?そもそも、どうやったら近道したはずの私より先に着けるわけ?」
「ん?君に教えた道よりもさらに近い道――まぁ獣道なんだけど、そっちを使って来たからね。もちろん、君と二人っきりになるためにv」

彼にピッタリというかむしろ彼のためにあるような道を使ったようです。

「そ、そこまでして……あ、とりあえず離してくれる?」

実は、まだ抱きしめられたままでした。コケそうなところを抱き留められたので、全身を預けたような格好です。
彼は素晴らしい笑顔を浮かべました。

「却下v」
いっそ清々しいくらいの即答ありがとう。だけどこの体勢、ちょっとツラいのよね」
「あ、そうか……気付かなくてごめんね?」

蓮も、今度は素直にキョーコを手放しました。ですがそれで終わるなんてこと、ローリィが普通の衣装を着て普通に登場するくらいありえません。
ホッとしている彼女をひょいと抱き上げ、そのまま中へと進んで行きます。

「この体勢も落ち着かないんだけどっ///」
「俺は落ち着くけど?」
「マリアちゃんに見られたらどうするのよ///」
「それは大丈夫だよ。彼女は今居ないからね」
「………………はい?」
「宝田さんとは懇意にしていてね、当然マリアちゃんとも顔馴染みなんだ。それで君が言った『この先の別荘』がココのことだってわかったんだよ」

(ああ。だから近道とかも知ってたのね……)

今更ながらそのことに気付くキョーコ。
できれば道を教えてもらったときに気付いて欲しいものです。


蓮は客室の一つに入り、大きなベッドの上に彼女を降ろしました。そして一枚の紙を取り出し、彼女に手渡します。

「で、ここに着いたらこんなものが扉に貼られてたんだ」







社さんへ☆

こんにちは、社さん。秘書の仕事、ご苦労様ですv
おじい様から話は聞きました。私のためにお姉様への「ラブミーユニフォーム着用義務」を撤回なさったそうね。虫除けができなくなってしまうけど、このことを聞いたらお姉様も以前のように接してくださるはずだわ♪
だから今からお姉様のところへ行ってきます。せっかく迎えに来てくれたのに、ごめんなさいね?


蓮様へv

上に書いてあるように、少し出かけます。
もし私が不在のときにいらしたら、お好きなように部屋を使ってちょうだいねv


マリア





「ということで、お言葉に甘えようかvv」
どういうことでよっ!?って言うか、なんで服を脱がしてるのっ///
「そりゃもちろん、君を食べるためvv」
「さらりと言わないでぇぇぇぇぇっ(涙)」

キョーコは心の底から叫びました。
すると蓮は、思わず罪悪感を抱かずにはいられないほど切ない表情を浮かべたのです。

「…………ダメ?」
「えっ!?あ、あの…//」
「もしキョーコが本当にイヤなら、無理強いはしないよ?」
「そ、そのぉ……///」
「キョーコ……?」
「………………………………イヤじゃない…ケド……////
「じゃあ、構わないんだね?」
「へ?」



彼女の了承を得た途端、蓮の雰囲気はものの見事に変わりました。その様子を言葉に表すと、まさに男が狼に変身した瞬間というところです。


「では、いただきますvv」
「〜〜〜〜〜〜〜っ////」







――こうして、ピンクツナギの少女は狼と化した青年に心いくまで食されたのでした☆








<なが〜いおまけ>

「あら、社さん?」
「どうしたの?青ざめて……あ、手紙を見て驚いた?」
「………………………………」
「それなら大丈夫ですよ。マリアちゃん、無事に来ましたから」
「でも、お姉様とは行き違いになってたのよねぇ……だから、今から帰るところだっ」
「止めなさいっ!いま別荘に帰るのは危険だ!!」
「「危険?」」
「これ以上ないくらいのデンジャラス・ゾーンだ!!マリアちゃんを迎えに行ったら何故か蓮が居て、手紙を見せながら、

『こういうことですので、せっかく来られたところ悪いんですけどお引取り願えますか?俺、今から女性を出迎えなきゃいけないんですよ。
――無いとは思いますが……もし邪魔するというなら、たとえ社さんでも排除しますよ?』


ってスゴんできたんだ!絶対零度の恐怖を経験したねっ!!
「……ちょっと待ちなさいよ?その女性って…」
「…………お姉様、と考えるべきでしょうね」
「え!?キョーコちゃん!?……蓮、いつの間にキョーコちゃんと会ったんだろ…?」
「そんなことはどうでもいいわよ!!何で助けてこないのっ!あなた猟師でしょ!?
「モー子さん?社さんは秘書よ?」
どっちにしても無理だって!今ここに生きて立っていられるだけでも奇跡なんだから!!」
「と、いうことは……」
「今頃お姉様は……」
「うん。捕食されてるね。」(断言)


「「「…………合掌」」」









(おしまい)

やってしまいましたアホ話を!i|||i_| ̄|○i|||i
……赤ずきんちゃんのストーリーになってます?一応グリムの童話バージョンなんですけど、猟師が狼に負けています(笑)

ちなみに、
・赤ずきん→キョーコ
・狼→蓮
・母親→奏江
・祖母→マリア
・猟師→社
で変換しました。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございましたっ!拝ませてくださいませっm(_ _)m



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