Coming of Age Day





今日は1月の第2月曜日――いわゆる「成人の日」である。この日は満二十歳を迎えた男女が成人の仲間入りすることを祝うため、各市町村で開催される成人式のような公的なイベントがある。

業界一のイベント好きと評されるローリィ宝田がそんな面白いイベントを見逃すはずもなく、

「ウチに所属している人間で成人したヤツ!てめェら全員参加だ!!」

と当然のように「LME成人式」なるものを開催している。
そして、キョーコも今年二十歳を迎えていた。







「……良かったぁ♪社長が用意したって聞いてたから、どれだけ派手な振袖が待ってるのかと心配で心配で心配で(エンドレス)心配だったけど、可愛いデザインで良かったv」

キョーコにあてがわれた振袖は、ピンクの生地に白と赤の蝶が袖口と裾で飛び交う柄であり、髪飾りも蝶を模った落ち着いたものであった。「ピンク」と言っても、以前キョーコが所属していたラブミー部専用ユニフォームのような呪い的インパクツ☆の「ドピンク」ではなく、キョーコの魅力を十分に引き出す上品な色である。


……キョーコには知らされていないが、彼女の振袖だけは蓮が選んでいた。
社長の用意する衣装に不安があったことは否定しないが、一番の理由は「キョーコが身に着けるものを自分以外の男が選ぶなんて許せない」というもの。社長といえども、その対象から外れることはなかったようだ。
当然社長は拒否したが、

「キョーコの衣装を選ばせてくれないなら、俺、イベントに参加しませんよ?いくら社長でも他の男の選んだ衣装を着たキョーコを見ながら『お祝いの言葉』なんて、ぜっっっっっったいに無理ですから」(にっこり)

などという、ヘリクツを超えた超絶ワガママ!を発動したのだった。
しかし恐ろしいのは社長である。いい年したトップ俳優のワガママを、呆れるどころか、

「……蓮っ、俺は嬉しいぞ!!そこまで深〜〜〜〜〜い愛に目覚めたかっ!よし!最上君の振袖はお前が選べ!!」

と涙を流しながらのたまったという……





本来ならスタイリストに着付けてもらえるのだが、今年は参加人数が例年より多いため、自分で着付けのできるキョーコは一人用意された控え室で着がえていた。

「……よし、準備オッケーね!お化粧はメイクさんがしてくれてるし、髪もばっちりアップしてくれてるから……う〜ん、残った時間、どうしよう?動き回るわけにもいかないしなぁ…」

イベント開始まで1時間もあり、その間どう過ごすか考えていると扉をノックする音が聞こえた。

「はーい?」
「俺だけど、入ってもいい?それともまだ着替え中だったりする?」
「あ、蓮!ううん、もう着替えは済んだから入ってきてもいいわよ」
「そう?だったら失礼するよ」

イベントが始まる前にお祝いの言葉をかけようとやって来た蓮は、キョーコの許可を得てから部屋の中へと入った。

「成人、おめで…………」
「わぁ、キレイな花ね〜v なになに?それ、くれるの?」
「………………」
「……蓮?…れ〜ん!おーい、蓮ってば」
「………………」
「れ・ん!どうして固まってるのよ!!そんなに似合ってないわけ!?」

入ってきた直後から全く動かなくなってしまった蓮を訝しげに思い、目の前で手を振ったり大声を出したりしたが反応なし。
呆気に取られるほど自分の姿はおかしいのかと、キョーコが沈みかけたその時――


「…………キョーコ」
「うん?な……っ」

やっと反応を示したと思い、顔を上げた途端塞がれた唇。その口付けはそっと何度も吸っては離し、啄んでは唇を舐めるというものであった。
甘い口付けに少しずつ身をゆだねていたキョーコだが、段々と深く執拗に絡んでくる舌に息苦しさを感じ始める。

「……んぅ…れ…………も、ヤ……ふっ」

何とか搾り出した拒否の声は更に激しい口付けによって遮られ、苦しさからキョーコの瞳は潤み、頬は紅く上気していく。
いい加減意識が飛びそうになった頃、やっと唇を離す蓮。だが、大きく息をついたキョーコの首筋とうなじを蓮の舌が伝う。

「ひゃっ!?な、なにすんのよぉ!?て、聞いてる!?蓮ってば!!」

蓮はキョーコの必死の呼びかけにも応えず、キョーコを抱き上げて台の上へと横たえた。その胸元を肌蹴させ、下着を着けていないキョーコの肌に紅い華を散らしていく。

「やっ……蓮!」

何とか押し返そうとするが、女の力では到底敵うものではない。彼の手は更に進み、キョーコの太ももに触れたその瞬間、

ガチャ

「キョーコちゃ〜ん。蓮のヤツ、こっちへ来てないかな?そろそろ衣装とかの準備しない……と………………」
「「……………………」」


フリーズする一同。
取っ手に手をかけたままの社に、台の上で胸元をあらわにしたまま組み敷かれているキョーコと組み敷いている蓮。

現状をいち早く理解したキョーコは瞬時に真っ赤になり、あまりのことに声にならない悲鳴を上げた。
そして次に解凍された社は顔面蒼白、目に見えて顔を伝う汗が彼の心情を表している。

(…………奏江さん……俺はここで命を落とすかもしれない……いや、この際『かも』なんて言葉はムダだな……)

心の中で愛する奏江に別れを告げ始めた社。
しかし、彼の予想は見事に裏切られた。

「あ…すみません、探させてしまったみたいですね。戻りましょうか」

なんと、キョーコに近づく男は全て排除してきたあの蓮が、彼女との濡れ場を図らずとも見てしまった社に対し、いつもと変わらない態度を向けたのだった。

((…………天変地異の前触れ!?))

などと、果てしなく正当な考えをしている二人には気づかず、蓮はキョーコに「また後でね」とだけ残して部屋を出て行ってしまった。社も慌ててそれに続き、ドアを閉めた。





「……なあ、蓮。(俺的にはものスゴ〜〜〜〜〜く有難いことだが)あんな場面を見られて不機嫌にならないなんて、どうしたんだ?」

キョーコのいた控え室から大分離れた頃、社は前を歩く蓮に恐る恐る声をかけた。
はっきり言って訊かない方が安全なのだが、どうしても気になるらしい。というより、蓮の態度が不気味なのだろう。

一方、尋ねられた蓮は、珍しく自嘲めいた苦笑を浮かべた。

「……今回ばかりは、社さんに助けられましたからね」
「は?助ける?…………俺がか?(むしろ助かったのは俺なんだが)

訳のわからないことを言い出す蓮に、社は怪訝そうに眉を寄せる。
意味不明な発言をした本人は壁に背を預け、深い溜息をついた。



「――アレは反則ですよ…理性がぶっ飛びました……もし社さんが来なかったら、キョーコが泣いて嫌がっても無理強いするところでしたよ……実際、彼女の制止は聞こえてても効果なしでしたからね…」











紗那様へ相互記念に捧げたリクで、「着物姿のキョーコちゃんに蓮様の理性ガタガタ」でした(笑)

何か裏ギリギリ?これは【甘々】と言えるのか……いや、ダメでしょうね(汗)
……コトに運んでないから、セーフということにして下さいっ!(/-\)
それにしても、やっぱり哀れな社さん(笑) ゴメンなさいね〜、キョーコちゃんを救える勇者は貴方しかいないんですよv
でも、今回は危険な目に会ってませんし、許してください♪


あ゛ー、紗那様。随分と待たせた挙句にリクに応えきれていないです…(涙)
書き直しも可なので、苦情待ってます!