結論:「旦那様の心配は当然」ということで☆
これは「小さな星たち」で蓮様が零した、『スリリングな毎日』です(笑)
こんな奥さんは縛りつけたくもなりますよね…
旦那様は心配性? キョーコの妊娠が発覚して数週間。 発覚日は当然のこと、数日に渡って周りに大被害を与える笑顔を振り撒いていた蓮が、ここ最近異様に疲れている。(その話題に触れれば、やはり大被害を引き起こすが) 更に言えば、仕事以外の時間は常にソワソワしている。 経験上このような蓮に関わるのは胃に宜しくないとわかっている社だが、好奇心には勝てなかった。 「随分気疲れしてるみたいだけど……どうした?」 「……わかります?」 「わからないはずないだろ…」 「ちょっと…朝から晩まで気を張り詰めているもので」 「……キョーコちゃん、大変なのか?」 妊娠中はちょっとしたことが命取りになると聞いている社は、蓮の様子に不安を抱いた。 社の気持ちを察し、苦笑する蓮。 「…まぁ、別の意味で大変です」 「別の意味?」 「ええ…彼女の一挙一動が怖くて……今朝もゴミを出そうとするし」 「……は?」 「当然阻止しましたけどね。何度言っても止めてくれないんですよ…」 最近聞き慣れてしまった溜息を吐く蓮に、社は頭痛を感じた。 いくらなんでも過保護すぎる。 「蓮…それは心配しすぎじゃないか?妊婦でもゴミくらいは出せるって」 「………………生ゴミがたっぷり詰まった袋や、古雑誌の束でも?」 「………………………さすがにそれはマズいと思う」 「……ですよね」 再び溜息を吐く蓮。 「軽い物を運ぶのは別に構わないんですけど、重い物を持つのは本当に止めて欲しいですよ…心臓に悪い」 「……確かに」 今までならそのような場面を見ても穏やかな気持ちで「俺が持つよ」と言えたが、今は無理だ。持とうとする場面を見ただけでも「俺が持つからっ!!」と叫んでしまう。 必死に「何か運ぶときは俺に言ってくれ」と説いても、キョーコは「心配しすぎよ〜」と笑顔で切り捨ててしまうのだ。 「――あ。ヤバい」 「へ?」 「思い出したら心配になってきました。ちょっと電話を―――…あれ?」 「どうした?」 「…………携帯を忘れてきました。朝、バタバタしてましたので……」 「あ、じゃあ俺のを――」 「れ〜んっ」 「「え!?」」 携帯を貸そうとした瞬間、スタジオの入り口からよく知る声が聞こえた。 だが、今は聞こえるはずのない声である。 まさか…と思いつつも視線を向けた二人は同時に固まった。 それも当然である。携帯を顔の高さまで持ち上げて笑っているキョーコがいたのだから。 固まって動けない二人など気にせず、笑顔で駆け寄ってくる妊婦。 「ちょっ…待てキョーコ!!」 「リビングに忘れてたわよー」 「それはいいから走らないでくれ!!」 「大丈夫大丈夫v 足の引っ掛かるようなものは―――っ!?」 「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」 床に躓いて倒れかけたキョーコをギリギリで抱き留めた蓮の動悸はこれ以上ないくらい激しい。社に至っては心臓停止寸前状態だ。 その状況を作り出した張本人が一番平然としているのは如何なものか。 「はぁ〜〜〜〜〜ビックリした〜〜〜〜」 「それはこっちの台詞だ!言ってる傍から何もないところでコケないでくれ!!」 「今度はコケないようにするわねv」 「というか走らないでくれ!!!」 (――キョーコちゃん…子供ができて嬉しいのはわかるけどさ……この調子だと周りの人間が胃潰瘍になるから…………まず俺かな…) 社の予想が当たったかどうかは、数ヵ月後にわかる――かも?
結論:「旦那様の心配は当然」ということで☆
これは「小さな星たち」で蓮様が零した、『スリリングな毎日』です(笑) こんな奥さんは縛りつけたくもなりますよね… |