朱に交われば赤くなる?





「ただいま」
「お帰りなさ〜〜いv」
「へえ…今日のエプロンも可愛いね」
「えへv 蓮に喜んで欲しくて買ってきたのvv」
「ほんとに?ありがとう、嬉しいよv」
「良かったvv
それで…どうする?ご飯にする?お風呂にする?…………それとも――」





プルルゥ〜〜〜・・プルルゥ〜〜〜・・プル ピッ



『――も』
「キョーコォォォォォォォ!!!」
『っっっ!?』
「てめェらの脳みそは腐ってんのか!?ベタな事してんじゃねーよ!!!バカップルの手本にでもなるつもりかこのヤローーーーー!!」
『は!?いきなり何言っ』
「何だあのフリルまみれのピンクエプロンはっ!?あのツナギも悪趣味だったがエプロンまでかよっ!!男がみんなフリル好きだと思ってんのか!?アイツもアイツだ!『嬉しいよv』なんて言ってんじゃねーーーーーー!!!」
『だから何を』
「しかもあのセリフ…っ!!最初の二つはまだ許せるが最後のは何だ!?てめェはいつからそんな女になっ」



『いいから止まれバカ男ーーーーっ!!(怒)』


「っっっっっ!!??」(キィィーーーン・・×3)
『脳が腐ってるのはあんたの方でしょーーーーー!?突然電話してきた上に訳わかんない事喚かないでよね!!』
「何だと!?キョーコのくせに生意気な!」
『あんたにだけは言われたくないわよっ!ショータローのクセに!!』
「その名前で呼ぶなっつってんだろーがぁぁぁぁぁっ!!」

携帯越しに悪態をつき合う二人。
その様は、電話相手にというより携帯に向かって怒鳴っているかのようだ。


一通り貶し終わった(言うことが尽きたとも言う)10分後、電話の向こうからキョーコの溜息が聞こえた。

『……で?』
「あ?」
『結局何だった訳?最初の意味不明な発言』
「っ!!(ゲッ!!)」

尚は意味なき応戦を繰り返している内に当初の発言をすっかり忘れていた。

(〜〜〜〜〜っ言えるかぁぁぁ!!『お前らのウザイやり取りを妄想しちまってその勢いで電話した』なんて!!!)

そう。尚は家に着いた瞬間、何故だかキョーコのことを思い出した。そして「…確か……アイツら○○してるんだったな…………って事は今頃――」という感じで妄想を膨らませていったのだった。
しかも以前とは違い、今の二人はれっきとした恋人同士。その事実がただの妄想を現実のように感じさせ――気づいたときには携帯を取り出し、冒頭のやり取りになっていた。


『…何よ。いきなり黙り込まないでよね。っていうか 気持ち悪い
「あ゛あ゛!?」
『用事が無いなら切るわよ?……さっきから静かな威圧感を感じて怖いんだから…

突然声を潜めたキョーコから、何かを窺うような気配が伝わってくる。
尚は顔を顰めた。

「…………アイツ、居るのか?」
『居るわよ?今日は早めに帰ってきたもの』
「………………………………まさか、出迎えなんぞしてねーだろーな?」
『は?したに決まってるじゃない』
「なにぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

思わず「オイオイオイオイ!!本当にやってんのかよ!?」と叫びそうになる。

『ちょっと!急に大声出さないでよ!!』
「ンなこたどうでもいい!!お前っ、その時エプロンしてたか!?」
『はあ?あんた何言って――っ!!??ちょ、ちょっと待『――やあ…こんばんは、不破君』
「な…!?」
『そろそろキョーコを返してくれないかな?というか、返してもらうよ』
「て、てめェ…っ」
『それにしても……さすが幼馴染みだな。揃って妄想癖があるとはね…』
「っ!!??(バ、バレてる!?ってか聞こえてたのか!?)」
『なかなか良い発想だ。今度採用させてもらうよ。それじゃ』


プツッ ツー・・ツー・・





「………………ザ…………ケんな敦賀蓮ーーーーーーっ!!俺は絶対に認めねーーーーーーっっ!!!」







彼の絶叫が近所に響き渡った夜から数日後、歴史は繰り返される。
それを知る者は――たぶん、いない。











キョーコちゃんに負けず劣らずの妄想家である事が発覚した尚君を♪
途中「○○」という表現がありましたが、答えは「同棲」です。頭の中でさえ敦賀氏を「芸能界一イイ男」と称したがらない彼ですので☆
違うことを想像された方、います?(笑)