3人の義兄妹 後編





キョーコはそのまま疾走し、500メートル先にある社のマンションへと駆け込みました。

「社さ〜んっ!開〜け〜てぇ〜〜っ!!」
「えっ!?キョ、キョーコちゃん!?」

突然聞こえたキョーコの声に、社は急いで中へと招き入れます。

「はぁ、はぁ…………ふぅ……疲れたぁ…」
「……どうしたの?そんなに息を切らせて」
「蓮に襲われそうになったんですよ…(涙)」
「…………初日から来たか」(ふっ)
「そんな遠い目をしないでくださいーーーーっ!!」
「いや、そんなこと言われても…」

ピーンポーン・・・

静かに鳴るインターホンの音に恐怖する2人。まさかと思いながらも、「来た…」という確信の方が強いようです。


『社さん。キョーコ、渡してくれますよね?』

やはり、来訪者は蓮でした。
答えはわかっていますが、一応キョーコに尋ねてみます。

「……どうする?」
「助けてくださいっ!捕まったら最後、言語に絶するあんなコトやこんなコトをされるに決まってるんですっ////」(必死)
「わ、わかったよ…(キョーコちゃん…そんな言葉、どこで覚えてきたんだ……?)
――ダメだっ蓮!可愛い義妹をみすみす渡せないっ!
『…………お義兄さん?そんなに死にたいんですか?』
「誰が義兄さんだっ!!て言うかいきなり死刑宣告!?」
『あと10秒以内に開けないと、勝手に入らせてもらいますよ?10・9…』
「いやまだ返事してないしっ」
『8・7…』

社のツッコミはスルーして続くカウントダウンに、キョーコはもはや半泣きです。

「社さ〜んっ(涙)」
「だ、大丈夫っ!鍵をしてるから中には……」
「ダメですっ!蓮、ピッキングできるんですよ!」
「どこで覚えたんだ!?」
「それより早く逃げましょう!」
「そ、そうだねっ!よしっ、ベランダだ!!」

幸い、社の部屋は2階です。運動神経の良い彼らは僅かな時間で地面へと降り立ち、即座に最後の避難場所へと駆け出しました……







「…………どうしたのよ、2人とも」

最後の避難場所、すなわち奏江の部屋へと逃げ込んだ社とキョーコ。1キロもの距離を全力疾走したため、さすがにお疲れのようです。

「……はぁっ…………蓮からっ……」
「…………逃げっ……」
「――ああ、なるほど。キョーコが敦賀さんに襲われそうになって倖一さんのとこへ逃げ込んだものの、そこで捕まりそうになったから私のとこへ来たのね?」

コクリ

彼らのわずかな情報から正しく現状把握した奏江に、2人は首肯で返事をしました。
奏江は深い溜息をつき、

「ってことは……ここにも来るんでしょうね、敦賀さん」
「来るだろうなぁ…」
「…………で、でも!ここはセキュリティ完備されてるから大丈夫よね!?」

縋るような瞳で見つめてくるキョーコに悪いと思いながらも、社と奏江は「それはどうだか…」とすでに諦めの境地です。

ブー

「おいでになったようね…………(ピッ)はい?」
『やぁ、琴南さん。不躾で悪いんだけど、君のところにキョーコいるよね?』
「いますけど……私の恋人と親友に何か?」
社さんはどうでもいいから、彼女を渡してくれないかな?』
「お断りします」
『……うーん、やっぱり君はガードが固いな…』
「どうなさるんですか?ここはセキュリティシステムが働いてますから、いくらあなたでも入って来れませんよ?」
『…………ふぅ…仕方ない。強引な手段は諦めるよ』
「「「えっ!?」」」

これには3人ともビックリです。蓮が大人しく引き下がるなんて、一体誰が予測できたでしょうか?しかし実際、彼にはこのセキュリティを解除する術はありません。







こうして義兄妹の協力(というより奏江の力)により、今回のところは助かったキョーコでした☆



































なんてねv


















人生そんなに甘くはないですよ?














蓮は言葉を続けました。

『それにしても……キョーコも琴南さんくらい警戒心を持っていてくれたら、俺が追いかけることもなかったのにね?』
「う゛っ」
「……どういうこと?」
セキュリティ皆無、1階、チェーン不調、鍵はかけても相手を確認しないで扉を開ける。
――これはもう、教育的指導をするしかないと思ったんだけど』
「う゛う゛っ!!」
「…………キョーコちゃん……(涙)」
「…………あんたって子は……(怒)」

キョーコの警戒心の無さを暴露され、2人からは呆れの念が放出し始めました。しかもやや蓮よりになっています。

(まずい!まずいわっ!このままだと『一度襲われて警戒心を植えつけてもらいなさいっ』とか言われて放り出されるっ)

そんなキョーコの心中はお構いなしに、蓮はトドメとも言える一言を放ったのです。

『――関係ないけど、もし俺とキョーコに子供ができたら、宝田さんも2人の祝宴会どころじゃなくなるだろうね。まあ、関係ないけどね?

ガチャ! ぽいっ

「や、社さんっ!?モー子さんっ!?」
「元気な子供を生みなさいね、キョーコv」
「キョーコちゃん、ファイトvv」

素晴らしい連携(社が扉を開け、奏江がキョーコを放り出す)を見せた後、2人は親指を立てて激励を送りました。その表情はこれ以上ないくらい爽やかです。
あまりに見事な手のヒラ返しに、キョーコは言葉もありません。


「あ、敦賀さん?正面ゲートを開けましたから」(にこ)
『ああ、開いたよ。ありがとう』(キュラリ)
「キョーコは部屋の前にいますからね。ついでにたっぷり警戒心を埋め込んでください」
『もちろん』

呆然としていたキョーコでしたが、徐々に意識を取り戻していきます。

「ちょっ…………2人の裏切り者ーーーーーーっ!!
『無防備すぎるあんたが悪いのよ。少しは学びなさい』
「自分達のために私を生贄にしただけじゃない!」
『大丈夫だよ、キョーコちゃん。そこに愛があれば問題ないからv
「それ院長のセリフだしっ!?」
『『グッドラック!!』』

ひょい♪

「っ!?れ、蓮……?」
「やあ……お帰り、お姫様」
「れ、冷静になりましょうっ!!」
「(スルー)さて。お義兄さんとお義姉さんの期待に応えるためにも、子作りに励まなきゃね?
「イヤ〜〜〜〜〜〜〜っ!!(涙)」





――その後、キョーコは問答無用で蓮と同棲することになったそうです☆








(おしまい)

サチ様からの10000hitリク、「スキビ版・3匹のこぶた」でした♪
結局これも原作無視ですv こぶた、食べられちゃいましたからね(笑)

キョーコ・奏江・社さんをこぶた、蓮様をオオカミに、ということでしたが……これで大丈夫でしょうか?細かな配役は、
・親→ローリィ宝田
・こぶた→(藁の家)キョーコ、(木の家)社、(煉瓦の家)奏江
・オオカミ→蓮
となっています。


サチ様!前後編にしてしまった上にワケのわからない駄文に成り果てましたっ(涙) 苦情をお待ちしてます!



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