スキビサイト『Time-scape』のふぁい様からまたまた強奪した、「仲村佳樹先生Birth Day記念」フリー小説です。
蓮キョ在中の社×奏江風味ですよ。一粒で二度おいしい作品でございます。
デート、って言うのかしら? 何でこんな事になっているのかしら……? 今日、私は仕事が終わったら早く家に帰って、三日後に控えているファッション雑誌のモデルの仕事の為にいろいろ調整をしようと思っていたのに。 私は車に、しかも助手席に乗っていた。 運転しているのは…。 「で、琴南さん。どこに行きたい?」 本日の仕事を終えたマネージャー。 勿論、私のマネージャーではない。 あの、敦賀蓮のマネージャー…である。 ――事の始まりは、今から20分前の会議室。 LMEを代表する人気俳優と私の親友がイチャついているのを散々目の前で見せ付けられて私はげっそりとしていた。 いや、もういい加減見慣れたけどね。 だけど、それを見せ付けられている私と社さんの立場も考えてよ。 と、イチャついていた女の方…キョーコが相手の男…敦賀さんの服の袖を引っ張った。 「…ん?」 敦賀さんはテレビなんかじゃ決して見せる事の無い笑顔でキョーコを見る。 「敦賀さん。今日は部屋をお借りしているお店のお手伝いをしたいんです。ですから…」 「ああ、そういえば朝言っていたね。話も終わったし、帰ろうか?」 あのー。 話も終わったっていうか、単にイチャついていただけでしょう?アナタ達は。 話って言ったって何も話してない気がしますけど? 「そうして頂けると助かります〜。最近、高校と連ドラの撮影で手伝えなかったから…」 「そうだね」 敦賀さんはキョーコの頭を撫でると、私と社さんの方を向いた。 「じゃあ帰ります。社さん、また明日九時に…。琴南さん、お疲れ様」 「うん、お疲れ様、蓮。明日はCM撮影から入るからな〜」 「敦賀さん、お疲れ様でした」 敦賀さんはさっさと二人に挨拶をすると、キョーコの手を引いてドアを開けた。 キョーコも慌てて挨拶をする。 「社さんっ、モー子さんっ、お疲れ様でした!」 そして敦賀さんに手を引かれて会議室から出ていく。 ……え? 「あ、ちょっ…、」 「キョーコちゃん、お疲れ様〜」 私の声を聞くことなく、二人は会議室から出て行った。 ちょっとちょっと待ちなさいよ!! 私を置いていかないでよキョーコ!! ……とまぁ、そう思うのも虚しく。 敦賀さんがキョーコを連れてさっさと会議室から出ていっちゃうから、私は社さんと二人きりになっちゃったのよ!! はっきり言って、困る。 すっごく、困る。 だって私、社さんと二人きりで話した事なんてあまりないんだもの! そうしたら社さんが、 「琴南さん、家まで送ろうか?」 私を家まで送ると言い出した。 「え、悪いですよ。それにまだ明るいから平気です」 私は送ってもらう理由なんてないから断った。 「気にしないで、どうせ俺も帰るんだから」 「…はぁ」 まぁ、社さんも帰るって言うなら…いっか。 「じゃあ、お願いします」 私は社さんのお言葉に甘えて、送ってもらう事にした。 7階にある会議室から地下駐車場に向かうために、エレベーターを待つ。 その間に、最近仕事どう?とか、2時間ドラマに出演する事になりました、とか他愛ない話をする。 やっとエレベーターが来て、中から見た事のある事務所のスタッフさんたちが出てきた。 「あ、おはようございます、社さん、琴南さん。さっき地下の駐車場で敦賀さんと最上さんを見ましたよ」 見るでしょうね、私を置いてさっさと行っちゃったんだから。 それにしても二人で事務所から帰るなんて、バラしてくださいって言っている様なモノだわ。 バレるのがまクいからいつも私とか社さんとかが一緒に下まで行くのに。 そんな事を思っていた私だったけど、耳に入ってきた言葉は予想外の言葉で…。 「今から次の現場なんですって?敦賀さんが言っていたわ。あなた達も行くんでしょう?」 は…? 「えぇ、まぁ…」 社さんは事情を察知したのか、頭をかきながら曖昧な返事をした。 「じゃあ頑張ってくださいね、早く行かないと二人に置いて行かれちゃいますよ」 スタッフさんと入れ替わりに私達がエレベーターに乗り、スーっとドアが閉まる。 中には私達だけ。 「…二人に置いていかれたんですけどね」 「スタッフに次が仕事だって言う辺り、蓮も役者だよな…いや、当たり前なんだけど」 「上手く使われた、って事ですね…」 …はぁ〜あ。 敦賀さんってとんでもなく頭がキレると言うか、要領がいいと言うか。 あきれる所だけど、感心してしまった。 駐車場に着き、私は素直に車に乗る。 そして丁寧な運転で車が動きだす。 そしたら。 そうしたら! 「琴南さん」 「はい?」 「これからもし暇ならどこか行かない?」 って誘われた。 ……はい? 暇ですか…有りますけどありません。 これから私は家に帰ってやる事があるんです。 確かに暇はあるんですけど無理です。 だから私はその誘いを断ろうとした。 「悪いんですけ…」 「そうだねぇ、ご飯でも食べようか?おいしい料理屋知っているんだ」 「いや、あの…」 「それとも映画見ようか?何でも好きなのでいいよ」 …この人って。 「もしくは夜景でも…」 こんなに強引な人だったの!? 「あのっ、私っ…」 「ん?何?」 ちょうど赤信号。 にっこり笑って私を見る社さん。 ううう…。 何かこんなに『いい人』の誘いを断るのって悪い気がする…。 そんな気にさせられたから思わず、 「暇…です」 そう答えちゃったのかもしれない。 「本当?よかったー、蓮の真似して強引に誘ってみて」 「…通りで」 強引だと思った。敦賀さんの真似していたのね―― …って! さっきの事を思い出している場合じゃなーい! 何でこんな事になっているかって…そりゃあどこかの実力派俳優と期待の新人のせいだわ! そうよ、そうに決まっているんだから! 「どこって…どこでもいいです」 私はさっきの『どこに行きたい?』の質問に答える。 だって私、特に行きたい所ないもの。 「じゃあ…まず映画行こうか。確か琴南さんが出ている映画、先週から公開しているよね?」 な、何で知ってるの、そんな事! 「それ見ようか」 「そうですね…」 確かにまだ見てないからいいんだけど。 …そういえば、何で急に私を誘ったんだろう? 「社さん、何で急に私を誘ったんですか?」 はっ…、しまった!思わず聞いちゃったわ! 「だってさー」 そうしたら、社さんは真面目な顔をして私の質問に答えてくれた。 「俺、いつもいつも、やたらと顔立ち整った馬鹿でかい男といるんだよ?そいつはとっとと彼女連れて帰っちゃうし。たまには俺だって琴南さんみたいな可愛い子と一緒にドライブしたり、出掛けてみたりしたっていいと思わない?」 「ぷ…っ」 社さんの言葉に、私は思わず噴出してしまった。 「あ、笑ったね?」 社さん、そんな事、真面目な顔して言う事じゃないわ。 やだ、この人、面白いかもしれない。 「社さんって…実は結構面白い人なんですね」 「そうかな?この業界に入ってそんな事言われたの初めてだよ」 「そうなんですか?」 …かなり天然だと思うんだけど。 とにかく、暇って言っちゃったんだからしょうがない。 こうなったらとことん遊んじゃうわ!! …あ、そういえば。 もしかしなくても、こんな状況って…。 デート、って言うのかしら?
スキビサイト『Time-scape』のふぁい様からまたまた強奪した、「仲村佳樹先生Birth Day記念」フリー小説です。
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