英会話レッスン





「・・・」
「・・・」

カツカツカツ・・・カツカツカツ・・・・・・

「ちがう」
「!?」
「なんでかなぁ・・・」

長身の男が呆れ顔で溜息混じりに呟いた。
その隣で目に刺さるようなピンク色のツナギを着た少女がわなわなと振るえている。
手に持っているペンは、今にも折れてしまいそうだ・・・

「どうやったらそこまで間違えられるんだ?」
「・・・・・」
「文法とか長文は全部解けるのに・・・・」
「・・・・・」
「なんで・・・発音だけ・・?」
「そ・・・そんなの本場の人間じゃないんだから解るワケないじゃないですか!!」
「・・ヘリクツ娘」
「なっ!?」
「知ってる?そういうの、開き直りっていうんだよ?」
「知りません!!だっ・・大体なんで敦賀さんがここにいるんですか!?」
「暇だから」
「暇って・・貴方撮影中でしょう?台詞覚えるとか・・・何か・・・」
「もう覚えた」
「ぐっ・・・でも私なんかに構う事ないでしょう!?」
「楽しいから」
「!?」
「せっかく暇を潰すなら楽しいほうがいいだろう?」
「私は楽しくも何ともありません!!むしろいい迷惑です!!」
「俺は楽しいの」
「とんだ自己中ですね!!もう!!どっか行って下さい!!」
「そんな事言って・・・後で後悔しても知らないよ?」
「なっ・・・なんでですか・・・?」

そして・・長身の男「敦賀蓮」は自分を指しながらこう言った。

「英語。得意」
「!? そんなバレバレの嘘を・・・・」
「じゃあ今俺が指摘した問題。当たってる?」
「・・・・・・間違ってます・・・」
「ホラ」
「でも偶然ってのもあるじゃないですか!!」
「素直じゃないね・・」
「それに、本当に敦賀さんが英語が得意だとしても発音なんて・・・」
「この前のスペシャルドラマ」
「・・?」
「俺、国際的敏腕サラリーマン」
「!?」
「英語やった」
「た・・確かに・・・・」

蓮はついこの間、スぺシャルドラマで大手貿易会社のやり手サラリーマン役を演じたのだった。
その際に披露した英会話の能力は凄まじいもので、話題になっていたのだ・・・

「素直になりなさい」
「返す言葉も御座いません・・・ハイ、貴方様の英語は素晴らしゅうございました」
「解ればよろしい。・・発音・・苦手なの?」
「はい。言い訳したくなる程には・・・」
「こういうのって、ある程度出題パターンは決まってるんじゃない?それを覚えれば・・・」
「そうなんです・・そうなんですよ!!私は今までそうやって乗り越えてきたんです!!・・この問題集に逢うまでは・・・・」
「そんなに難しいの?それ」
「難しいとかそういう問題では片付けられません!!見てください!!このマイナーな単語!!!!」
「マイナーって・・・」
「更にこのタイトル!!『未だかつてない問題集』ですよ!!タイトルへの期待に応えすぎですよ!!」
「プッ・・・・」
「!!笑うトコですか!?」
「・・ごっ・・ごめんごめん・・だって・・可笑しくて・・・」
「そんなに可笑しいですか・・・??」
「うん・・ああ、涙が・・・。で?なんでまたその『未だかつてない問題集』を使おうと?」
「先生が・・・」
「へぇ・・なかなかやるねぇ・・」
「感心してる場合ですか!?いきなり昨日渡してきて、4ページ分2日後にテストするっていうんですよ!?」
「ソレは大変だねぇ〜〜」
「・・・そんな・・いかにもって態度止めて下さい。大変なんて思ってないでしょう?」
「よくわかったね」
「わかりますよ・・そりゃあ・・・まったく・・人事みたいに・・・」
「人事だもん」
「!?」
「大変だねぇ〜」
「・・・・・・つ・・・敦賀さん・・・・」
「何?」
「助けてください」
「イヤ」
「!?」
「それが人にモノを頼むときの態度ですか?」
「・・お助け下さい敦賀様」
「・・・・」
「貴方様だけが頼りなのでございます」
「・・・・」
「どうか・・御救い下さい・・・」
「・・・・よろしい」

「・・・・ケッ」

「ん?」
(ぢ・・ぢごくみみ・・・!!)
「ななな何でも御座いません!!ささっ!!始めましょう敦賀様!!」
「・・まあいいか。じゃ、試しにコレ。発音してみて?」
「・・・」
「どうぞ?
「・・・・ホ゛ソッ」
「・・もっと大きな声で」
「ご・・・ご勘弁を・・・!!私本当に出来ないんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「・・・・・確かに。今の発音はねぇ・・日本人丸だしだね」
(聞こえてたんだ!?)
「・・ど・・どうすれば・・・」
「ん〜〜ちょっとおいで?」
「え・・?ああはい。」
「君には二つ程欠点がある」
「二つ・・ですか?」
「ああ。一つは英語に慣れてないこと。今の様子じゃあ聞き取りもギリギリだろう?」
「・・・・・」
「図星ね」
「・・・くっ」
「で、もう一つは・・・」
「何でしょう?」
「英語には独特の発音法があるって知ってるよね?」
「はい」
「それが吸収しきれてないんだろうね」
「・・確かに・・そうです」
「俺が直々に教えてあげよう」
「ありがとうございま・・・・んっ!!!・・・んっ・・ふっ・・・」
「こうやって下唇を軽く噛んだり・・・」
「んむぅ・・・・ふぁっ・・・・」
「舌先を噛んだり?」
「んぅ・・・んん!!」
「舌と舌を絡ませたり」

「そんなの無いですよ!!大体一人で出来ませんよ!!何するんですか!!急に!!」
「発音の練習。解らなかった?ならもう一回・・・・「結構です!!」


そんなこんなで、蓮から手取り足取り口取りのレッスンを受けたキョ―コはテストで素晴らしい成績を取った・・・・とか。











スキビサイト『倫敦組』のマナ様より強奪してきました、1万hitフリー小説です。
キョーコちゃん、英語だけでなくキ○の仕方まで習っております(笑)