ロビーのソファーに座っている一人の少女。その後ろに近付くのは―――




アフレコ注意報





「やぁ」
「わぁっ!?」
急に声をかけられてびっくりして飛び上がったキョーコを、蓮は愛しそうに見つめる。久しぶりにキョーコに会えた喜びで蓮は笑顔三割増だ。
彼はマネージャーの帰りを待つ間ここに寄っているのだが…実はもうすでにマネージャーは帰って来ていた。

そう…ちょうどソファーから死角の場所に。

まだ次の撮影まで時間あるからお兄さんがご褒美をあげよう
と言うわけだ。

「おい蓮…あれだけ幸せそうな顔をしてる癖に無自覚ってどうよ?」
なぁんてボソボソと呟いている今に至る。
そのうち二人が楽しく話し始めた。それを彼は物陰から見守る。

『最上さん、最近仕事はどう?』
『あ…この前電話でアドバイスして下さってありがとうございました』

『この間ドラマ見たよ…上手だったね』
『ほ…本当ですか!?』
にっこりと微笑む蓮の顔は天使のよう。
それを見て自然にキョーコは赤面する。
『俺の瞳をちゃんと見て…嘘ついてるように見える?』
『そんな…///』
『俺は何時でも本気だよ』
『蓮…』
『キョーコちゃん…かわいいね』
『…お世辞は…困ります…』
『お世辞なんかじゃないよ』
『!!』
『俺…気付いたんだ…君を好きだって事に』



―バキィッ



「ひぃっ」
我に返った社の目の前で、壁の粉がハラハラと落ちていく。震え上がる彼の前にそれはもう大魔王級の笑顔を浮かべた蓮の姿があった。辺りの温度は絶体零度、おまけに横の壁はへこんでいる。

「イッテナイヨネ?アンナコト」
「は…っはい!!」

そう…先程までの蓮とキョーコの会話は全て社の妄想だったのだ。二人は実際は他愛もない世間話をしていた。

「社さ〜ん…俺オフが欲しいな」
笑顔で蓮が絡む。
「ひっっっしで作らせて頂きます!!」
「最上さんが行きたいお店があるらしいので」
「頑張ります」
この後社は寝ないでスケジュール調整をしましたとさ。

   そして

まさかこのだいぶ後に自分がアフレコしたのと同じ内容を聞いて砂を吐くとはまだ知らないのでした―











花ゆめ系サイト『桜華欄万』の下條夏梨様からまたまた強奪しました、2万hit記念フリー小説にございます。

社さん、自分で自分の首を絞めてどうするんですか(笑) でも、ナイスアフレコです!(グッ!)しかも的確v
蓮様も怒っていたクセに、実際やるとは(笑) さすが魔王v