Be somewhere





私が芸能界を目指したきっかけは「にっくき幼馴染・不破尚に復讐をするため」。
その強い思いでがんじがらめになっていたせいで、自分が芸能界に入ってから何をしたいのか、考えていなかった。
やみくもにオーディションを受けて、落ちてしまったけれど、それは私には「愛」という感情が欠落してしまってたからで。
「愛」を取り戻すにはどうしたらいいのか、それを探すためにラブミー部へと誘われた。

そしていつも偶然出会ってしまうあの人-----敦賀蓮の影響で、私は「演技」というものにとても興味を覚えた。
今まで他人のために動いていた自分が、あの人の演技を見ただけで、今までの自分を捨てたいと思った。

いつかあの人を「演技」でぎゃふんと言わせてみたい・・・・。それは別に不純でもなんでもない。
芸能界でやっていく上での「目標」が出来たのだから。
「復讐」という動機で芸能界を目指している私が気に入らないあの人はさんざん意地悪をしてきたけれど、今思い返してみれば、あの人なりの警告---のサインだったのかもしれない。



ある日以来、あの人はなんとなく私に優しくなった。
私の宝物「コーン」を拾ってくれたときから。

アドバイスをもらえたり、代理マネージャーをやった時も私のミスをフォローしてくれたり、そしてドラマの役作り・・・。
いろいろと助けてくれた。
そして私はそのお陰で芸能界で成功した・・・・と思う。
「演技」をする時にアイツの顔なんて思い浮かばない。
それってすごくいい傾向だと思う。
過去にとらわれていた自分と決別できたのかもしれない。

そう考えたらあの人の存在って結構私には重要なことだった。
いつからだろう。あの人の事をイヤだと思わなくなったのは。

思い出してみると、あの人は意地悪な微笑みはするけれど、時々とっても穏やかで神々しい微笑を見せてくれていたんだ。

私の前で。

着ぐるみを着ている私にふわっ・・・とキラキラと光輝く微笑。
私が「演技」を勉強している理由を言った時の神々しい微笑み。
こんなすさんだ心の私には眩しすぎた。

私は貴方のその輝く微笑を何度も見たい。
貴方の微笑みが見られただけで、私は前へと進んでいけるのだから。



気がついたら私はもう走り始めている。

「敦賀蓮」という目標に向かって。

どこまで行けば貴方に追いつくのだろう。



どんなにこの先困難な未来が待っていても私なら大丈夫。
自分のことは自分が一番わかっている。
今までだって自分の力でなんとかしてきたんだから。



待っていて。




きっと貴方の隣に立って、光り輝いてみせるんだから。











スキビサイト『SanaSEED』様のSana様よりまたまた強奪してきた、5万hit記念のフリーSSです。

Sana様初のキョーコちゃん独白話。(間違ってたらどうしよ…)
キョーコちゃんの過去を見つめ、未来を見据える前向きさが涙を誘います。素敵ですよねv

5万hit、おめでとうございました!