ベルガモットの香





仕事を終えたキョーコは、自宅に帰り夕飯その他を済ませ、お風呂に入っていた
お気に入りの入浴剤を入れて、その香に酔いしいれる

「はぁーーやっぱりお風呂は気持ち良いvv」

「何の入浴剤?」

「あぁ、これベルガモットです。・・って!!何で居るんですか敦賀さん///」

物音一つ立てない侵入者に驚き、叫び声を上げる
しかし、とうの侵入者は悪びれる様子も無く涼しげな顔

「女性の一人暮らしなんだし、無用心だから玄関の鍵は閉めないと駄目だよ」

「最初の不法侵入者が言える台詞ですか・・/////」

首まで湯船につかり、じっとしてはいるものの、声だけは小さな抵抗を続ける
その言葉に、最上級の微笑みはなおも輝きを増す

「不法侵入は酷いな。連絡入れたよね、メールちゃんと見た?」

その微笑に恐怖を覚えながらも、必死に思い返してみる
すると・・・・・・

「・・・・五時頃から、見てません」

熱さで赤い筈の顔が、心なしか青ざめたように見える
蓮は浴室に踏み入れると、湯船の傍に立ち湯に手を入れ軽く混ぜた

「綺麗なレモン色だね」

「ごめんなさい、私が悪かったんです!謝りますからリビングで待ってて下さい!!////」

蓮の微笑が怖いのか、入浴中に堂々と入って来られた事が恥ずかしいのか
キョーコの頭は見事に混乱している
そろそろ本気で逆上せそうな様子なので、蓮は彼女の願いを聞き入れリビングで待つことにした

暫らくして、キョーコが浴室から出てきた
黄色にオレンジのチェックが入ったパジャマ
まだ、タオルドライしただけの髪から零れる雫を、肩に掛けたタオルが受け止める

「パジャマなんだ・・・・」

少し驚いたように、ボーっと見ている蓮を見て
キョーコは照れて頬を染める

「当たり前ですよ、もう寝るつもりで居たんですから/////」

そんなキョーコが可愛らしくて、蓮は片手で顔を覆った

「どうかしました?」

心配そうに覗き込むキョーコを引き寄せ、斜めに傾いた首筋に赤い花を咲かせた

「良い香がする」

「・・・っ!/////」

不意打ちを食らって、首を抑えるのがやっと
キョーコが言葉を失っていると、蓮は名残惜しそうにその身体を放し立ち上がった

「そろそろ、帰るよ」

突然の一言に驚きの表情を浮かべる
それが少し嬉しかったようで・・・

「寂しい?別に、一晩居ても良いんだけど」

「違います!ただ何か御用だったんじゃと思って・・////」

慌てて弁解する姿も可愛らしい

「用ならもう済んだよ」

これ以上の長居は危険だとふんで、蓮は玄関へ向った
キョーコの仕草や表情を見ていると、離れ難くなる

「済んだ?」

見送りに来たキョーコが、不思議そうに首を傾げる

「・・・会いたかっただけ」

蓮はその唇に柔らかなキスを一つ落として笑う
その後軽く手を振ると、ドアの向こうに消えて行った

「何だったのよ一体・・/////」

残されたキョーコは、長風呂と上がった心拍数で、完全にのぼせていた











スキビサイト『十二ヶ月』の弥生様から強奪した、2万hitフリー小説です。
入力中のキョーコちゃんの許へ襲来する蓮様(笑)