紅に浮かぶ華





仕事を終えた蓮は、事務所の廊下を一人歩いていた
目的地は一つ、キョーコが居ると思われるラブミー部の部屋

そこに着くと、思った通りキョーコは一人で部屋に居て、誰かを待っているようだ

「やあ、椹主任なら来れなくなったよ」

「敦賀さん!」

蓮がやって来るとは思わなかったのだろう
キョーコは、目を丸くして驚いていた
もう少し嬉しそうな顔をして欲しかったから、蓮は苦笑いを浮べる

「君に伝えてくれって頼まれた」

「そうですか、わざわざ有難うございます」

それではじめて納得がいったのか
キョーコはやっと笑みを浮べて、丁寧にお辞儀をすると礼を述べた

すると、その目の前に一輪の薔薇が差し出される
不思議に思って顔を上げると、神々しいばかりの微笑を浮かべそれを差し出す蓮

「撮影に使ったのを貰ったんだ、君にあげようと思ってね」

「私に?もしかして・・その為にここに?」

「貰ってくれる」

「有難うございます・・大事にしますね//」

両手でそっと薔薇を包み込むように受け取ると、蓮は嬉しそうに笑った
それを見ながら、キョーコは考え込む

「私ばかり貰って、悪い気がします・・・何かあげれる物が有れば良いんですけど・・・」

ただ自分があげたいと思って持って来ただけなのに、これほどキョーコを悩ませる事になるとは思わなかった

貰える花があるにはあるのだが、それをくれるとは思えない・・・
それでもこの状況を変える為、冗談交じりに言ってみる

「だったら、俺にも花をくれない?」

そう言うと自身の首筋を指差して笑う
それが何を意味しているのか、解らなかったキョーコは暫く悩んだが、やっとその意味に気付き顔を真っ赤に染めた

「・・なっ!///」

そのうろたえ振りに、やはり無理だったかと蓮が苦笑いを浮べた瞬間
袖を引っ張るキョーコの指に気付いた

真っ赤になって俯いたキョーコが、何か小さな声で呟いている

「・・です・・///」

「えっ!?何?」

聞き取れなくて、もう一度聞き返す
すると俯いた顔をやっと上げて・・・

「高くて届かないです、しゃがんで下さい!///」

まさか本当にする気だとは思わなくて、蓮は硬直してしまった
だが、涙目になってやっと言ってくれた言葉を無駄に出来ない
ましてや、キョーコが自分からなど、今まででは考えられなかった事

蓮はキョーコを驚かせないように、ゆっくりと膝を付いてしゃがみ込んだ
低くなった蓮の両肩に手を乗せて
キョーコもゆっくりと蓮の首筋に唇を近づける

次に離れた時には、その首筋にキョーコから贈られた鮮やかなは華が咲き誇った

「有難う、大事にするよ」

嬉しそうに微笑む蓮の顔が、恥しさで見れなくなって
キョーコは慌てて、薔薇を抱えたまま走りだした

その後姿を愛しそうに眺めながら、蓮は首筋に残る感覚に酔いしいれた











スキビサイト『十二ヶ月』の弥生様から強奪した、6万hitフリー小説です。
蓮様の首筋にあのキョーコちゃんがキ○マークヾ(´▽`*)ゝ
うふふな作品です。