追憶






「………………」
「キョーちゃん……?」
「あ……あすかちゃん…」
「どうしたの?そんな暗い表情して――って、またあのバカのせいでくそガキ共に苛められたのね…?(怒)」
「ううんっ……ショーちゃんのせいじゃないのっ。『あんたのこと、気にいらないのよ!』っていわれたもん……」

「(それはあのバカがキョーちゃんに馴れ馴れしい態度を取ってるからよ……『学校ではキョーちゃんに馴れ馴れしくすんなv かと言って無視なんてしてみろ?埋めちゃうぞv』って何度言ったらわかるんだあのヴァカはっ!!本当に埋めてやろうかしら……?
ふふっv どこのお嬢チャンかしらね?制裁を食らいたいのはv
「あすかちゃん……『せいさい』ってなぁに?」
「キョーちゃんはまだ知らなくていい言葉よ。
……まぁ、知らなきゃいけないような日が来ないことを願うけど」
「?よくわからないけど、わかったわっ」
「いい子ねv じゃあ、(キョーちゃんを苛めた愚か者への制裁は後でするとして)今日の夕飯はハンバーグにしようか?」(にこv)
「うんっ」







「『コーン』君?」
「そうなのっ!すっごくキレイな男の子なのっ!」
「へぇ……どこの子?」
「わかんない。川であった子だもの。でも、さいしょに見たときは妖精かと思ったわっ」
「……川?キョーちゃん、川になんか行ってたの?」
「あ…」

「(――松太郎の前では泣けないから、か。私と一緒に暮らせたらいいんだけど、あのヒトとの契約がなぁ……にしてもあのヴォケっ!!キョーちゃんの性格上、私のところまで泣きに来れるわけないじゃない!わざわざ一人になれるところを探させるなんて……(怒) ホンッッットに役立たずねっ!)
大丈夫よ、怒ってないから。ただ、一人で川の近くに行くのは危ないでしょ?そのコーン君は何歳くらいの子?」
「……わたしより年上で、あすかちゃんより年下だと思う。たぶん、小学校の6年生くらいかな?」
「そっか……それくらいの子が一緒なら、川に行ってもいいよ。(キョーちゃんがその子の前では泣けるって言うのなら、そうさせてあげたいし)」
「ほんとっ!?」
「ただし、一度会わせてね?信用できる子か確認したいから。(信用できない子ならその場で埋めてやるv)
「うんっ!きっとあすかちゃんも仲良くなれるわ!」
「そう?それは楽しみね」








「あすかちゃ〜んっ」
「キョーちゃん…」
「あすかちゃん、ほんとに行っちゃうの……?」
「うん…ゴメンね?あのヒトとの――姉さんとの約束だから……」
「お母さん……?」
「ちょっと、ね……(私がもう少し大人だったら、あのクソ女から親権もぎ取ってやるんだけどなぁ……)
本当にごめんなさい。連絡も、取れなくなるわ」
「そんな……あすかちゃんがいなくなったら、わたし、ほんとうに泣けなくなるよ……コーンもいなくなっちゃったし……」
「……キョーちゃん」

ギュッ

「大丈夫よ……コーン君に貰った石があるでしょう?あの、『悲しみを食べてくれる石』……あれが、きっとキョーちゃんの支えになってくれる。それに、一生逢えないわけじゃないのよ?」
「……ほんと?」
「もちろん!私が成人して、それなりに稼げるようになったら逢いに来るから。ね?」
「……うん…わかった!じゃあ、それまでのお別れね?」
「そうよ。(あのバカに愛想尽かした)貴女に逢える日を楽しみにしてるわ」
「わたしもっ!ずっっっっっと待ってるから!」
「ありがとう、キョーちゃん………………またね…」












「…………久しぶりに見たなぁ、昔の夢…」


少女時代の夢を見ていたキョーコは、下宿先の『だるまや』の2階で目覚めた。
上半身を起こし、まだ鮮明に残っている映像を思い出す。

「まったく……あの頃の私は本当にバカだったわ…っ!どう考えても、私が苛められてた原因はショータローじゃない!それに『あの人』がショータローを『あのバカ』って言う度に否定してたなんて………あーーーーっムカつくっ!
――って、あ゛あ゛っ!?ショータローについてきちゃった所為で京都に帰れないってことは、もう『あの人』と逢えないってことじゃない!?…………………15歳の私のばかぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

己の愚行に対し、激しく自己嫌悪に陥るキョーコ。
あの時は『彼女』がいなくなって随分と時間が経っており、最後に交わした約束もキョーコが幼い頃のことだったため、今日夢に見るまで忘れていた。

「…………どうして忘れてたんだろ……逢いたいなぁ、明日香ちゃんに…」

そう呟いて、しばしの間過去に思いを馳せる。
――が、それも目覚まし時計に視線を向けるまでのことだった。

「あーーーーっ!?もうこんな時間!?急いで支度して瑠璃子ちゃんを迎えに行かなきゃっ!」












――――これは、キョーコがラブミー部として松内瑠璃子から受けた依頼の、ロケ当日の話。


この日、キョーコは人生の分岐点に立つこととなる……











始めてしまいました……連載。しかもオリジナルキャラ・明日香さんが出張ってます。
まぁこの話は、明日香さんがどんな人物なのか軽〜く紹介するためのものですしね。彼女は見ての通りの腹黒です。そしてキョーコちゃん至上主義v

話は原作のACT.9からですね。それまでの話は、蓮キョがないのと尚君が多いので割愛(笑)
こんな感じでほとんどオリジナルと化しますが、宜しくお願いします☆



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